一口にZEH(ネット・ゼロエネルギー・ハウス)と言っても、すべての地域、あらゆる敷地条件に対して、同じ基準の省エネや再エネを求めるとZEH普及の妨げになるので、環境省では以下のような区分分けをしています。(リコエネの活動範囲である首都圏は山間部を除いて地域6です)

出典:SII公開データ
『ZEH』外皮平均熱貫流率UA値0.60以下(地域4~7において)
地域冷房期の平均熱貫流率ηAC値3.0以下(地域5)、2.8以下(地域6)、2.7以下(地域7)
基準一次エネ消費量からの削減率20%以上、 
再エネ分を含めた基準一次エネ消費量からの削減率100%以上
Nearly ZEH <寒冷地/低日射地域/多雪地域>
UA値、ηAC値、基準一次エネ消費量削減率は『ZEH』 に同じ、 
再エネ分を含めた基準一次エネ消費量からの削減率75%以上
ZEH Oriented <「敷地面積85㎡未満かつ北側斜線対象地域」 または「積雪量100㎝以上の地域」>
UA値、ηAC値、基準一次エネ消費量削減率は『ZEH』 に同じ、 
エネ無しOK 

上の3つをZEHシリーズ と呼び、補助金55万円 (2025年度)です。

『ZEH』が本来のZEH基準なのですが、土地の状況によっては不可能に近い場合があります。寒冷地、山間の日照時間の短いところなどは太陽光パネルをいっぱい載せても100%以上の削減が難しい場合があります。そこでNearly ZEHとして、再エネ含めて1次エネ消費削減率75%以上であればZEHの範疇として補助金の対象にしています。

また、狭小敷地の場合や多雪地帯では、パネルを多く載せられなかったり、長期にわたって太陽光パネルの上に雪が積もったままになるので、再エネ無しでもZEH Orientedとして補助金の対象になっています。

Ua値0.60は、私たちリコエネメンバーは最低ラインの数値と捉えています。

<補助金上の区分> では、ZEHグループより上位のグループとして、以下のような区分があります。

ZEH+外皮平均熱貫流率UA値0.46以下(地域5~7において)
地域冷房期の平均熱貫流率ηAC値は『ZEH』 に同じ(地域8をのぞく)、
基準一次エネ消費量からの削減率30%以上
再エネ分を含めた基準一次エネ消費量からの削減率100%以上
  かつ、
以下の項目のうち1つ以上を導入 
・5kW以上の蓄電システム
・PVTシステム
・太陽熱利用システム
・昼間沸き上げにシフトする機能をもつ給湯機
・EV車に充電または充放電 
・高度エネルギーマネージメント
NearlyZEH+ <寒冷地/低日射地域/多雪地域>
再エネ分を含めた基準一次エネ消費量からの削減率75%以上
その他はZEH+と同じ

この2つのカテゴリーは補助金90万円(2025年度)で前年度より10万円少なくなっているのですが、蓄電をはじめPVTシステムなど、再エネに関する設備ごとに追加の補助額が計上できる仕組みになっています。環境により優しくなる分、工事費もアップするので補助金も多くなるという仕組みです。 

個人的な感想を言えば、基準一次エネ消費量からの削減率30%以上がかなりハードルが高いです。
デザイン性の高い衛生設備を選ぶと節水機能が無かったり、排気に1m以上のダクトを使ったりすると省エネにならなかったりして、省エネ評点が伸びないということを経験しました。